若年層も要注意!筋肉量の低下が肥満をまねく、サルコペニアって?
サルコペニアという言葉をご存知でしょうか?
筋肉の減少をさす造語で、筋量低下に伴う肥満や身体機能の衰えを注意喚起するキーワードとして厚生労働省が提示、進行を防ぐ生活習慣などが推奨されています。
筋肉の衰えから体脂肪率の上昇、メタボリックシンドローム、虚弱体質を招くサルコペニアは25〜30歳頃からはじまり、生涯を通じて進行します。年齢を重ねる上で避けて通れない現象ではありますが進行には個人差があり、生涯充分な筋量を保つ方がいる一方で、40〜50代で歩行はおろか立ち上がることさえ難しくなるケースもあるようです。
サルコペニアの症状
30歳頃から進行するサルコペニアの症状は、足元から感じることが多いようです。
例えば、段差がない場所で頻繁につまずく、足の筋力だけで立ち上がれず、手をつくようになることも筋力低下のサインです。
一見、注意するような症状とは思えませんが、つまずいて転倒し、骨や関節を痛めてそのまま寝たきりになってしまうこともあるので甘くみることはできません。
何もない場所でつまずく原因は脛(すね)の外側にある前脛骨筋という筋肉の衰え(疲労)で、ヒールの靴を履く、また、早歩きのクセがある方は衰えが早いといわれています。
手をついて立ち上がるのは、中年あたりから誰しもが当たり前に行なう動作ですが、足腰が衰えている証拠なのでこちらも軽視することはできません。
サルコペニア進行の命運を分けるポイント
サルコペニアの進行を防ぐには、筋力を維持することです。
運動を日常的に続けて筋力をキープするのはもちろん、筋肉が痩せ衰えないよう、栄養バランスのよい食事を心がけることも重要です。
特に高齢になるにつれ小食や偏食になる傾向があるので、筋肉をつくるタンパク質をはじめとする栄養素を意識して充分に摂るようにしましょう。
筋力アップのための運動は、ウォーキングや軽いジョギングがおすすめですが、膝関節を痛めている中高年の方も多いと思うので、無理のない範囲で少しずつ関節の可動域、負荷をましていってください。
サルコペニアが進行した状態だと、旅行やちょっとした外出も楽しめなくなってしまいます。
「まだ若いから大丈夫」と、自分の筋力を過信しすぎず、体が動くうちからトレーニングや関節の機能維持に努めてくださいね。
執筆 寺尾 友宏/Tomohiro Terao
TC関節機能センター センター長
職務と平行して学んでいた京都大学院の医学研究科では、幹細胞研究に参加するなど、再生医療のような新治療の開拓に強い興味を抱く。
また、現場ではスポーツ整形外科医として医療に従事。杖道を行っていたこともあり、武道を始め、テニスやゴルフ、野球、サッカーなどの様々なプロアスリートを診療してきた実績を持つ。
このような背景から、ミクロ(細胞)とマクロ(動き)の総合的な回復を信条として治療にあたる中、特にPRP治療の症例は600例を超える。
http://www.joint-function.com/
資格
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科 スポーツ医
日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医
日本医師会 健康スポーツ医
日本医師会 産業医
日本体育協会 スポーツドクター
著書
『万能細胞医療—衝撃の未来医学』メタモル出版(2010年)
『「正しいクセ」を身につければ腰痛は治る!』洋泉社(2012年)