ハイヒール愛用者は要注意! 若い女性に急増中の「ヘビ背」って?

今、若い女性の間で急増中の「ヘビ背」という疾患をご存知でしょうか?
正式名称「機能性側弯症(きのうせいそくわんしょう)」という背骨の疾患で、通常はまっすぐ伸びているはずの背骨が、ヘビが這っているかのように左右ジグザグに彎曲(わんきょく)し、腰痛や肩こりを引き起こします。
重症化すると歩くこともままならなくなる恐ろしい病、「ヘビ背」の原因と予防策をご紹介します。

 

ヘビ背の症状と原因

ヘビ背になってしまうと、体に様々な悪影響が出てきます。
まず、背骨を中心に背中の左右均等にかかっていた負荷のバランスが崩れ、右の背中だけが痛くなったり、筋肉が硬くなり異常な緊張を感じるようになります。
硬くなった筋肉は背骨付近に流れる動脈を圧迫し、循環障害を誘発。脳への血流不足から物忘れやストレス性睡眠障害、全身の血液循環の悪化により内臓疾患を起こすこともあります。
また、背骨を起因に体全体が歪んでしまい、通常は接触しない神経同士が接触して痛みやしびれを感じ、症状が進むと歩行が困難になってしまうことも。

このように「ヘビ背」は、全身機能にダメージを与える恐ろしい疾患ですが、原因は意外に身近なことで、大きな要因の1つに「ハイヒールの愛用」があげられています。
ハイヒールは歩行バランスを保つことが難しい形状で、歩行の度に背骨がねじれるように曲がってしまい、長期間愛用していると、ねじれたままのクセがついてしまいます。
さらに、重い鞄をいつも右肩にかけていたり、脚を長時間組むことも背骨の彎曲につながります。

これらは現代的な女性が好みそうな習慣ですから、近年のヘビ背患者の増加もうなずけます。

 

 

簡単で効果的!ヘビ背を解消する猫ストレッチ

普段からヘビ背の原因になる習慣のある方や、背中に慢性的な緊張を感じている方に試していただきたいのが「猫ストレッチ」です。

ストレッチの方法はとても簡単で、

①四つん這いになり手足を肩幅に開く。
②息を吐きながら上からつまみ上げられるように、背中をゆっくり上げる。
③上げきったら息を吐きながらゆっくり元の状態に戻す。

これだけです。

まるで猫が伸びをするようなこの動作で、背中周りの筋肉がほぐれて歪みが矯正されていきます。
朝晩6回ずつを目安に行なうと効果がありますので、ぜひ試してみてください。

初期症状のヘビ背なら、ストレッチや安定感のある靴の使用などで解消することができます。
将来の足腰の健康を維持するためにも、若いうちから気をつけてくださいね。

 


執筆 寺尾 友宏/Tomohiro Terao
お茶の水セルクリニック 院長

職務と平行して学んでいた京都大学院の医学研究科では、幹細胞研究に参加するなど、再生医療のような新治療の開拓に強い興味を抱く。
また、現場ではスポーツ整形外科医として医療に従事。杖道を行っていたこともあり、武道を始め、テニスやゴルフ、野球、サッカーなどの様々なプロアスリートを診療してきた実績を持つ。
このような背景から、ミクロ(細胞)とマクロ(動き)の総合的な回復を信条として治療にあたる中、特にPRP治療の症例は600例を超える。
http://www.joint-function.com/


資格
日本整形外科学会 専門医
日本整形外科 スポーツ医
日本整形外科学会 運動器リハビリテーション医
日本医師会 健康スポーツ医
日本医師会 産業医
日本体育協会 スポーツドクター


著書
『万能細胞医療—衝撃の未来医学』メタモル出版(2010年)
『「正しいクセ」を身につければ腰痛は治る!』洋泉社(2012年)